日本人にとってなくてはならない、醤油や味噌の香り。
クメール料理も日本人の口に合いやすく美味しいものですが、醤油や味噌の香りを嗅ぐだけで郷愁を覚えてしまうのは日本人としての性でしょうか。
全世界的なコロナ禍を迎え、いまだ混乱が収まらない2020年ですが、その一方で、カンボジアではこれまでにないほどの日本食ブームが到来しています。
空前の日本食ブームを迎えたカンボジア
タイやベトナムをはじめとした東南アジア諸国でも絶大な人気を集めている日本食ですが、ついにカンボジアでも本格的な支持を得ていくまでになりました。
この状況には現在のコロナ禍が与えた影響も少なくありません。
かつてのように自由に海外旅行を楽しむことができなくなってしまったカンボジア人富裕層が目をつけたのが、見た目にも楽しく繊細な味わいを楽しむことができる日本食でした。
カンボジア人富裕層が日本食を支持
誰もが経験したことのない新型肺炎の脅威の中、感染対策を徹底し安心できる環境で高品質な食事を提供し続けてきた、カンボジア国内の日本食レストラン。
これまで駐在員や出張客らで賑わっていた高級和食店の前には、カンボジア人富裕層らによる高級車が押し寄せる光景もいまやめずらしくありません(カンボジアでは駐車場が一般的ではないため、路上駐車で店舗前が塞がってしまいます)。
食材のおいしさ、新鮮さを、ぜいたくに楽しむことができる日本食の存在は、いまやカンボジア人富裕層たちにとっての「ステータス」のひとつとなりました。
コロナ禍の中でも新規開業の勢い衰えず
その勢いに続けとばかりに、2020年も日本食レストランの新規オープンが立て続いています。
一品一品の料理のクオリティーはもちろん、店舗の内装やプレゼンテーションにも凝った個性が楽しめるお店ばかりです。
2020年に新規開業した日本食レストラン
新型コロナウイルス感染症への対策が何よりも優先された2020年ですが、そうした中でも数多くの日本食レストランが開業しました。
超高級寿司店から焼肉店、おにぎり専門店、洋菓子店や屋台まで、バラエティーに富んだ料理で地元のカンボジア人や在住外国人の注目を集めています。
エリア | 備考 | |
---|---|---|
焼肉ガーデン東京 | リバーサイド | 景色の良いバルコニーと綺麗な内装、居心地の良いモダンな焼肉レストラン |
焼肉A5 徳 | ワットボトム | A5ランク日本産牛肉を売りにした高級焼肉店、フィリピンにも支店あり |
KOBEEF Japanese BBQ | ボントラバエク | 美味しい焼肉とビールを格安で楽しめる超穴場のローカルスタイル焼肉店 |
LOOP Heartful Restaurant | ドンペン | 雰囲気の良い店内とリーズナブルで美味しい料理が楽しい和風洋食店 |
KYŌ Omakase | ドンペン | 三上正裕 駐カンボジア特命全権大使も太鼓判! カンボジア人経営の超高級寿司店 |
Sushi Niwa | ボンケンコン1 | タイ・バンコクで評判の超高級寿司店がカンボジアに進出 |
Naga Imo | ボンケンコン1 | シンガポールで人気を博した超高級OMAKASEスタイルがカンボジア進出 |
Roast'n'Roll | トゥールトンポン | 昼間は喫茶店&夜はバーの二部制レストラン、料理の味に定評あり |
Riceball Phnom Penh | ボンケンコン1 | 米と素材にこだわったおにぎり専門店、現在はコンビニ「サークルK」にも卸販売中 |
chez shige | ボントラバエク | 日本人パティシエによる丁寧な仕事が際立つ絶品の洋菓子店 |
Vanna Takoyaki | プノンペン市内複数箇所 | カンボジア人経営の格安タコ焼き屋台、市内の複数箇所にて販売 |
店舗移転や支店オープンによる業務拡大も
一方、店舗移転や支店数の増加によってビジネスを加速・拡大しているケースも目立ちます。
コロナ禍の難しい時期においても地元のカンボジア人たちからより多くの支持を集め続けている「カンボジア国内ビジネスの成功例」として考えることもできそうです。
エリア | 備考 | |
---|---|---|
丸亀製麺 | リバーサイド | プノンペン市内4店舗目となる丸亀製麺が王宮近くのリバーサイドにオープン |
しゃぶしゃぶ温野菜 | ボンケンコン1 | カンボジア人に人気の鍋料理、ボンケンコン1中心部に2店舗目をオープン |
美人鍋 by 塚田農場 | ボンケンコン1 | コラーゲン鍋がカンボジア若者層にヒット、ボンケンコン中心部に2号店をオープン |
しゃぶ里&キンタン・ブッフェ | カランダーレ・モール | 鍋&焼肉の食べ放題で人気、3号店をボンコックの新型ショッピングモールに展開 |
En Donburi | ボンケンコン1 | 台湾人経営の超高級寿司店「En Omakase」から派生した高級どんぶり専門店 |
寿司 海宝丸 | ドンペン | イオンモール1号店から移転、高級住宅エリアの路面店として事業拡大 |
翁さんラーメン&ビヨンド St.310 | ボンケンコン1 | 在住日本人が足繁く通う本格ラーメン店が居酒屋スタイルの2号店を開店 |
ふわり | トンレバサック / ボンケンコン1 / エクスチェンジ・スクエア / チップモン・ノロモール | 在住日本人に愛されてきた老舗洋菓子店が移転、怒涛の新店舗拡大で計4店舗に |
まとめ
日本をはじめ、世界各地で”自粛”と防疫措置が叫ばれ続けてきた2020年。
早い時期に新型コロナウイルス感染拡大の封じ込めに成功することができたカンボジアでは、諸外国に比べ飲食店へのダメージも軽微なものに留まり、特にプノンペン市内における飲食業界では堅調な成長が見られました。
中でも、一般庶民の月給ほどするような超高級寿司店にカンボジア人富裕層からの人気が集中するなど(ウニや大トロ、和牛といった高級食材に注目が集まっています)、これまでになかった傾向も見られ、今後のカンボジア国内の日本食需要は引き続きの変化と拡大が期待されます。
これから迎える2021年には、どんな飲食店が人気を集めていくでしょうか。
いまやグルメの街となったプノンペンの今後がますます楽しみです。